【2026年版】日本の半導体企業まとめ|メーカー・製造装置・材料会社の強みを解説

業界・企業

「日本には、どのような半導体企業があるの?」

半導体について勉強していると、NVIDIA、TSMC、Intel、Samsungなど、海外企業の名前を目にする機会が多いと思います。

そのため、日本の半導体産業は海外に比べて弱いと思われることもあります。

しかし、半導体産業は、半導体チップを作る企業だけで成り立っているわけではありません。

シリコンウエハーやフォトレジストなどの材料を作る企業、半導体を加工する製造装置を作る企業、完成した半導体を検査する企業など、非常に多くの企業が協力しています。

日本には、イメージセンサー、NAND型フラッシュメモリ、車載マイコン、パワー半導体といった特定の半導体に強い企業があります。さらに、製造装置や半導体材料でも、世界の半導体工場を支える重要な企業が数多く存在します。

この記事では、日本の主な半導体企業を、

  • 半導体メーカー
  • 半導体製造装置メーカー
  • 半導体材料メーカー

の3つに分けて、各社が何を作っているのかを初心者向けに解説します。

日本の半導体企業を地図で確認しよう

以下の地図には、日本の主要な半導体関連企業の本社と製造拠点を表示しています。

マークにカーソルを合わせると、企業名と「本社」「製造拠点」のどちらであるかを確認できます。企業名をクリックすると、各社の公式サイトが開きます。

JAPAN SEMICONDUCTOR MAP

日本の半導体企業 本社・製造拠点マップ

地図上の印にカーソルを合わせると、企業名と拠点の種類を確認できます。印をクリックまたはタップし、企業名を選ぶと公式サイトが別タブで開きます。

本社 製造拠点

見方:数字入りの丸は、近い場所に複数の拠点があることを示します。丸をクリックすると拡大できます。

※ 製造拠点は、各社が公表している国内拠点のうち半導体事業に関係する主要拠点を掲載しています。2026年8月時点。

地図を見ると、企業の本社は東京周辺に集中している一方、製造拠点は北海道から九州まで全国に広がっていることが分かります。

半導体工場では、広い土地や大量の水、安定した電力が必要です。そのため、本社とは離れた地域に製造拠点が作られることも珍しくありません。

なお、この地図に掲載しているのは各社の主要拠点です。すべての営業所、研究所、関連会社、工場を表示しているわけではありません。

日本の半導体企業は3種類に分けると分かりやすい

日本の半導体企業を理解するときは、まず企業の役割を整理することが大切です。

半導体メーカー

半導体メーカーは、半導体の設計や製造、販売を行う企業です。

スマートフォンのカメラに使われるイメージセンサー、自動車を制御するマイコン、データを保存するNAND型フラッシュメモリなどを作っています。

ただし、すべての企業が自社工場を持っているとは限りません。設計を中心に行い、製造を外部のファウンドリへ委託する「ファブレス企業」もあります。

半導体製造装置メーカー

半導体は、人の手で直接加工できる大きさではありません。

ウエハー上に薄い膜を作る成膜装置、回路を形成するためのコータ・デベロッパや露光装置、不要な部分を削るエッチング装置、汚れを取り除く洗浄装置などが必要です。

こうした装置を作るのが半導体製造装置メーカーです。

半導体材料メーカー

半導体工場では、土台となるシリコンウエハーだけでなく、フォトレジスト、成膜材料、薬液、研磨材、パッケージ基板など、さまざまな材料が使われます。

材料にわずかな不純物やばらつきがあるだけでも、半導体の性能や歩留まりに影響する可能性があります。

そのため、材料メーカーには非常に高い品質管理能力が求められます。

日本の主要な半導体メーカー

まずは、半導体そのものを設計・製造している主な日本企業を見ていきましょう。

企業名主な製品・分野
ソニーセミコンダクタソリューションズCMOSイメージセンサー
キオクシアNAND型フラッシュメモリ、SSD
ルネサス エレクトロニクス車載マイコン、SoC、アナログ半導体
ロームSiCパワー半導体、アナログ半導体
三菱電機パワー半導体、高周波・光デバイス
東芝デバイス&ストレージパワー半導体、ディスクリート半導体
ソシオネクストSoCの設計・開発
Rapidus2nm世代の先端ロジック半導体

ソニーセミコンダクタソリューションズ

ソニーセミコンダクタソリューションズは、CMOSイメージセンサーを得意とする企業です。

イメージセンサーは、レンズから入ってきた光を電気信号へ変換する半導体です。簡単に表すと、スマートフォンやデジタルカメラの「目」にあたります。

現在はスマートフォンだけでなく、自動車の周辺監視カメラ、工場の画像検査、監視カメラなどにも使用されています。

ソニーは、画素を形成するチップと信号処理を行うチップを積み重ねる積層型構造などを活用し、小型化と高性能化を進めています。同社は公式サイトで、イメージセンサー市場において世界最大のシェアを持つと説明しています。

キオクシア

キオクシアは、NAND型フラッシュメモリを中心に事業を展開する企業です。

NAND型フラッシュメモリは、電源を切ってもデータを保存できる不揮発性メモリです。スマートフォン、SDカード、SSD、データセンターなどで使われています。

キオクシアの前身にあたる東芝は、1987年にNAND型フラッシュメモリを発明しました。現在はメモリセルを縦方向に積み重ねる3D NAND技術「BiCS FLASH」を展開しています。

AIの普及によってデータセンターで扱うデータ量が増えるほど、大容量の記憶装置も必要になります。そのため、NAND型フラッシュメモリは今後も重要な半導体の一つです。

ルネサス エレクトロニクス

ルネサス エレクトロニクスは、マイコン、SoC、アナログ半導体、パワー半導体などを扱う企業です。

特に車載半導体では、自動車の走行や車体、電装品などを制御するマイコンを供給しています。

マイコンは、センサーから情報を受け取り、決められたプログラムに従って機器を動かす小型のコンピューターです。

現在の自動車には多くの電子制御機能が搭載されているため、1台の自動車に多数の半導体が使われています。電動化や運転支援機能の高度化が進むほど、マイコンやSoC、電源制御用半導体の重要性も高まります。

ローム・三菱電機・東芝デバイス&ストレージ

ローム、三菱電機、東芝デバイス&ストレージは、電力を変換・制御するパワー半導体を扱っています。

パワー半導体は、電気を必要な電圧へ変換したり、モーターへ流す電流を制御したりする半導体です。電気自動車、鉄道、産業機器、エアコン、太陽光発電設備などで使用されています。

特に注目されているのが、SiCを使ったパワー半導体です。

SiCは、シリコンと炭素から作られる半導体材料です。従来のシリコン製パワー半導体と比べて、高電圧・高温環境に対応しやすく、電力損失を小さくできる特徴があります。

電気自動車では、電力損失を減らすことが航続距離や充電性能の改善につながるため、SiCパワー半導体の採用が進んでいます。

ソシオネクスト

ソシオネクストは、特定の用途に合わせたSoCを設計する企業です。

SoCとは、演算、制御、通信など複数の機能を1つの半導体チップへまとめたものです。

ソシオネクストは自社で大規模な半導体工場を持つメーカーではなく、設計を中心に行うファブレス企業に分類されます。

半導体企業を見るときは、「何を設計しているか」だけでなく、「自社工場で製造するのか」「外部企業へ製造を委託するのか」にも注目すると、各社の違いが分かりやすくなります。

Rapidus

Rapidusは、2022年に設立された日本の半導体企業です。

北海道千歳市にIIMと呼ばれる製造拠点を建設し、2nm世代の先端ロジック半導体の開発を進めています。2025年4月からパイロットラインを稼働させ、2027年の量産開始を目標としています。

先端ロジック半導体は、AIサーバー、自動運転、通信機器など、高い演算性能が必要な製品で重要になります。

ただし、Rapidusはすでに大規模な量産実績を持つ企業ではありません。今後、歩留まりを高め、顧客を獲得し、予定どおり量産へ移行できるかが重要なポイントです。

日本の主要な半導体製造装置メーカー

日本が現在も強い分野の一つが、半導体製造装置です。

企業名主な装置・技術
東京エレクトロン塗布・現像、成膜、エッチング、洗浄
SCREENウエハー洗浄装置
アドバンテスト半導体テスト装置
ディスコダイシング、研削、研磨装置
レーザーテックフォトマスク・EUVマスク検査装置
KOKUSAI ELECTRIC成膜・熱処理装置
荏原製作所CMP装置
キヤノン・ニコン半導体露光装置
TOWA樹脂封止装置、切断装置

東京エレクトロン

東京エレクトロンは、日本を代表する半導体製造装置メーカーです。

フォトレジストの塗布と現像を行うコータ・デベロッパをはじめ、成膜、エッチング、洗浄など、前工程のさまざまな装置を扱っています。

1種類の装置だけでなく、複数の重要工程に製品を持っていることが東京エレクトロンの特徴です。

SCREEN・ディスコ

SCREENは、ウエハー表面の薬液や異物を取り除く洗浄装置を得意としています。

半導体製造では、目に見えないほど小さなゴミでも回路不良の原因になります。成膜、エッチング、CMPなどの工程後には洗浄が必要になるため、洗浄装置は繰り返し使用されます。

ディスコは、回路が完成したウエハーをチップごとに切り分けるダイシング装置や、ウエハーを薄くする研削・研磨装置を扱っています。

半導体の薄型化や積層化が進むほど、ウエハーを割らずに薄く加工する技術が重要になります。

アドバンテスト・レーザーテック

アドバンテストは、半導体が設計どおりに動作するかを確認するテスト装置を扱っています。

AI半導体や車載半導体のように構造が複雑になるほど、性能と信頼性を正確に検査する技術が必要です。

レーザーテックは、フォトマスクやEUVマスクに欠陥がないかを確認する検査装置を得意としています。

マスクに欠陥があると、同じ不良パターンが多くのウエハーへ転写される可能性があります。そのため、回路を作る前の段階でマスクを検査することが重要です。

KOKUSAI ELECTRIC・荏原製作所・TOWA

KOKUSAI ELECTRICは、ウエハーに薄膜を形成する成膜装置や熱処理装置を扱っています。

荏原製作所は、ウエハー表面を平らにするCMP装置を提供しています。半導体は複数の膜と配線を積み重ねて作るため、途中で表面を平坦にしなければ、次の回路を正確に形成できません。

TOWAは、完成した半導体チップを樹脂で保護するモールディング装置など、後工程の装置を得意としています。

このように日本企業は、前工程だけでなく、検査や後工程でも重要な役割を担っています。

日本の主要な半導体材料メーカー

半導体材料も、日本企業が高い技術力を持つ分野です。

企業名主な材料・製品
信越化学工業シリコンウエハー、フォトマスクブランクス
SUMCOシリコンウエハー
JSRフォトレジストなど
東京応化工業フォトレジスト、高純度薬品
レゾナック半導体・パッケージ材料
富士フイルムレジスト、CMP材料、高純度薬品
味の素ファインテクノパッケージ用絶縁材料
イビデンICパッケージ基板
HOYAフォトマスクブランクス
ADEKA成膜材料、高純度材料

信越化学工業・SUMCO

信越化学工業とSUMCOは、半導体の土台となるシリコンウエハーを製造しています。

シリコンウエハーは、高純度の単結晶シリコンを薄い円板状に加工したものです。この表面に成膜、露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返し、半導体回路を形成します。

表面のわずかな凹凸や結晶欠陥も歩留まりへ影響するため、高い純度と平坦度が求められます。

JSR・東京応化工業

JSRと東京応化工業は、フォトリソグラフィ工程で使用するフォトレジストなどを扱っています。

フォトレジストは、特定の光に反応して現像液への溶けやすさが変わる材料です。ウエハー上へ回路パターンを作るために使われます。

回路が微細になるほど、レジストには高い解像性能や均一性が必要です。特にEUV露光では、光への反応性だけでなく、微小な欠陥やパターンのばらつきを抑える技術も重要になります。

レゾナック・富士フイルム・味の素ファインテクノ

レゾナックや富士フイルムは、前工程材料だけでなく、CMPや先端パッケージに関連する幅広い材料を扱っています。

味の素ファインテクノは、半導体パッケージ基板に使われる層間絶縁材料で知られています。

半導体チップ単体の性能が高くても、パッケージ内部で信号や電力をうまく伝えられなければ、製品全体の性能を発揮できません。

AI半導体ではGPUやメモリなどを近くに配置する先端パッケージが重要になっているため、後工程材料やパッケージ基板の技術にも注目が集まっています。

日本国内で半導体を製造する海外系企業

日本国内に工場があるからといって、すべてが日本企業とは限りません。

代表例が、熊本県に工場を持つJASMです。JASMは、台湾のTSMCが中心となって設立した製造会社です。

また、Micronは広島県、Texas Instrumentsは茨城県や福島県に製造拠点を持っています。

海外企業が日本へ工場を建設することで、国内の装置メーカー、材料メーカー、物流会社、建設会社などにも新しい需要が生まれます。

そのため、日本の半導体産業を見るときは、日本企業だけでなく「日本国内にどのような半導体工場があるか」も重要です。

日本の半導体産業が抱える課題

日本は1980年代、世界の半導体市場で大きな存在感を持っていました。

しかし、その後は設計と製造の分業が進み、ファブレス企業やファウンドリが成長しました。巨額の設備投資や開発競争への対応も難しくなり、先端ロジック半導体では海外企業との差が広がりました。

現在の日本企業は、すべての種類の半導体で強いわけではありません。

一方で、イメージセンサー、NAND型フラッシュメモリ、車載マイコン、パワー半導体、製造装置、材料など、特定の分野では重要な技術を持っています。

今後の課題は、こうした既存の強みを維持しながら、先端ロジック、AI半導体、先端パッケージなどの成長分野へどのようにつなげるかです。

また、半導体工場を建設するだけでなく、装置を動かす技術者、製造条件を開発するプロセスエンジニア、回路設計者などの人材育成も必要になります。

日本の半導体企業まとめ

日本の半導体産業は、「昔より弱くなった」と一言で表せるほど単純ではありません。

確かに、最先端CPUやGPUの設計・量産では、海外企業が大きな存在感を持っています。

しかし、半導体産業全体を見ると、日本企業は次のような分野で重要な役割を担っています。

  • ソニーのCMOSイメージセンサー
  • キオクシアのNAND型フラッシュメモリ
  • ルネサスの車載マイコン・SoC
  • ロームや三菱電機などのパワー半導体
  • 東京エレクトロンやSCREENなどの製造装置
  • 信越化学工業やSUMCOなどのシリコンウエハー
  • JSRや東京応化工業などのフォトレジスト
  • 味の素ファインテクノやイビデンなどのパッケージ材料・基板

つまり、日本は「完成した半導体チップ」だけでなく、半導体を作るための装置や材料を含めたサプライチェーン全体に強みを持っています。

企業を調べるときは、売上高や会社の規模だけで判断するのではなく、

その企業が、半導体のどの工程で、どのような製品を供給しているのか

に注目してみてください。

それぞれの企業の役割が分かるようになると、日本の半導体産業だけでなく、世界の半導体企業同士のつながりも理解しやすくなります。

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